開拓使時代の司法

付論一 明治時代前期の司法　付論二 江戸時代の司法

　本書は、従来まとまった研究のなかった開拓使時代の司法を、裁判制度を中心に考察しようとしたものである。

　江戸時代も明治時代も裁判の基本構造は変わらない。「事実の確定、法令の適用−結論」である。そこで江戸時代は、旧幕府の直轄地の適用法令である「公事方御定書」を中心に書いた。
　明治時代前期は法令全書からみた明治政府の成立、政治体制、法制の過程を追い、裁判制度の変遷は断獄概略表、聴訟概略表として書いた。
　主題である開拓使時代の裁判権は、明治２年９月の「犯罪者処分委任ノ権限（太政官指令）」および、明治８年１１月の「開拓使職制並事務章程（太政官達第２１７号）」において「土地ヲ開拓シ人民繁殖警備勧業等」とされ地方自治・裁判に関する権限が定められた。