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 松前・蝦夷地納経記

 

 〔宝永元年(1704)〕

松前・蝦夷地納経記

付 アイヌ語集

 

 

 

 本書は、福井県福井市の曹洞宗普門寺に残されいた古文書資料のうち、宝永元年(1704)3月から8月にかけて記録された松前・蝦夷地の納経資料とアイに語資料一冊を解説・翻刻したものである。
 元禄3年(1690)から始まり宝永4年(1707)の越後・能登までの18年間にわたる「正光空念師 廻国納経資料」(仮称 32冊か)は、南は薩摩、北は蝦夷地と全国わたって記録されており、「廻国僧の諸国行脚は納経を主目的とされている為に、その行脚が記録として残されることは珍しい。そのような意味から、空念師廻国資料は元禄・宝永の頃の寺院・神社の資料を知る上で、貴重な資料である」と編者の國東利行氏(大分県宇佐市 極楽寺住職)は述べている。
 これら資料は昭和30年(1955)2月の普門寺本堂・庫裡などの火災により、その多くが焼けた姿となっており、水濡れのためであろう一冊一冊は容易には確認できなくなっている。その資料のなかから國東氏が、やや完全な形で残されていた松前・蝦夷地の資料をまとめたのが本書である。

 

 

著者/廻国僧正光空念師  國東利行[編]

A5判/250頁

定価: 3,600円+税(税込 3,960円)

978-4-8328-1009-9

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【目次】

本書の内容
 仏閣・神社への納経、山岳・神霊地への仏神の勧請をおこない、その記帳内容は寺院名・現住住職の名前と印鑑が示され、協力を得た松前藩の役人名、アイヌの乙名・小使などの名前が記されており、なかにはアイヌのイトッパまたはシロシと思われる印もしるされいる。加えて、蝦夷地・千島・樺太の地名が記録されいることなど18世紀初めの蝦夷地の実情が記録されている。
 また、「拙僧廻国15年を経て宝永元年3月7日(中略)松前え渡海しそれよりアイヌの嶋々廻り申候節アイヌ言葉聞覚候故ここに記者也」として、300年前のおよそ460語のアイヌ語が採録され、年代判明(宝永元年 1704)資料としては最古のものと思われ価値の高い貴重な資料である。

 
 

 

2010.11.25発刊

 

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