本書では古代日本語と、アイヌ語、アイヌ祖語が数割にわたって共通の語根を持つことが示される。この事により古代日本語のもとになった日本祖語と、アイヌ語のもとになったアイヌ祖語が、同系であるか、異系であるかにしても、一方が他方から語彙をかなり借用した事を明らかにしようとする。 この為アイヌ語、アイヌ祖語と。古代日本語、日本祖語の共通の祖語を仮定して、そこからの発展を書いた。 両語の語彙について比較言語学的研究を行ったのは日本語の内的再構成による祖語の設定はいまだに完全にはなされておらず又、おのずから限界もあると考えるからである。 すでに著者により、日本祖語とインド・ヨーロッパ(印欧)祖語、アイヌ祖語と印欧祖語とが数割の共通語根を持つ事が示された。これらに比べると日本祖語とアイヌ祖語の共通語根の数は少ない。日本語に照応するアイヌ語がない場合は無理をせず空欄にしておいた。照応例が少ない理由については今後の研究を待ちたい。 本書の不十分な所は国語学、アイヌ語学、比較言語学等の諸先学の批判を待って将来改訂してゆきたいと思おう。
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著者/鳴海日出志
四六判/538頁
定価: 4,000円+税(税込 4,400円)
ISBN978-4-8328-0008-3 |
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